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日記

diary
日記

逆転の逆転を見た話。

逆転の逆転を見た話。

甲子園の決勝が、いま終わりました。智弁和歌山、4対3。5年ぶりの優勝だそうです。

興奮が冷めないうちに書いておきます。これから祭りに行くので、その前に。

一昨日、「楽しみは当日より、待っている間が本番かもしれない」と書きました。撤回します(笑 今日は、当日が本番でした。

昼は決勝の経過をチラチラ気にしながら仕事をする、とも書きました。結果から言うと、8回からは完全に手が止まっていました。仕事になりませんでした、はい。

試合の流れを、野球に詳しくない方にも分かるように書くと、こうです。

まず2回、智弁和歌山が2点を先に取ります。三塁打と二塁打。いい流れでした。このまま智弁が逃げ切るのかな、と思った。

5回に健大高崎が1点を返して、2対1。まだ智弁が有利。でも1点差というのは、野球でいちばん嫌な点差なんですよね。何が起きても不思議じゃない距離。

そこから6回、7回と、点が動きません。動かない時間ほど怖いものはなくて、一球ごとに「ここで何か起きるんじゃないか」と身構える。起きない。また身構える。この繰り返しで、見ている側の体力だけが削られていく。

そして8回表。健大高崎の2ランホームラン。ライトスタンドへ。一瞬で3対2、逆転。

正直、ここで「決まったな」と思いました。終盤に逆転されて、相手に流れが行って、残りは2イニングしかない。高校野球で、ここからひっくり返る試合を、ぼくはそう多く知りません。

人間って、負けが見えると先に受け入れて楽になろうとするんですよね。テレビの前のぼくが、まさにそれでした。「惜しかったな」という顔を、もう準備していた。

ところが、その裏。

智弁和歌山はスクイズで同点に追いつきます。スクイズって、バットに当てて転がすだけの地味な一手なんですけど、この場面で、このプレッシャーの中で、それを選んで、決める。一か八かの大振りじゃなく、いちばん地味で、いちばん確実な一手を選ぶ胆力。見ている側の心臓の方が持たない。

そして次の打者。三振するんです。空振り三振。ぼくはまた「惜しかったな」の顔に戻りかけた。

でもその球が暴投になって、三塁走者が還ってくる。4対3。

逆転の、逆転。

決勝点が、誰のヒットでもなく暴投だったというのが、野球の残酷さと美しさの両方だと思います。18歳が投げた一球が、打った側にも投げた側にも、一生の記憶になる。投げた子のことを思うと、少し胸が痛い。でも、あの場面まで持ち込んだのは、間違いなく両チームの力です。

9回、智弁が守り切って、終わり。

勝った側の話ばかり書きましたが、負けた健大高崎も、決勝の終盤に2ランで逆転してみせた側です。あの場面であれを打てるチームが、負ける。それが決勝という場所の重さなんだと思います。

一昨日「本気は見ている側の背筋を伸ばす」とも書きましたが、今日はそれどころじゃなくて、背筋が伸びたり縮んだりでした(笑 前に出て、後ろに下がって、もう一度前に出る。9イニングで、心が三往復くらいした訳です。

逆転されたあとに、もう一度逆転する。これは技術の話というより、心の話だと思うんです。「決まったな」と思った瞬間、テレビの前の大人は諦めていて、グラウンドの上の選手たちだけが、決まったと思っていなかった。

経営の話に引き寄せるのは野暮なので、今日はやめておきます。ただ、逆転の逆転は、負けそうな側が先に諦めない限り、いつでも起こり得る。先に「惜しかったな」の顔をしないこと。それだけは覚えておこうと思います。

さて、祭りに行ってきます。提灯の下で、冷やしきゅうりを。今日はいい一日になると一昨日書きましたが、まだ昼の時点で、もう十分すぎるくらい、いい一日です。

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