日記
diaryタクシーで、毎回さんまさんに捕まる話。

移動で、よくタクシーに乗ります。
車内で仕事を片付けるつもりで乗るんですけど、だいたい、目の前の画面を見ています。
後部座席のモニター。あれ、意外と勉強になるんですよね。
まず、逃げられない。
スマホの広告は指一本で飛ばせます。テレビは席を立てる。でもタクシーは、シートベルトを締めて、目の前30センチに画面があって、降りるまで座っている。音も勝手に出る。
広告でいちばん難しいのは「見てもらう」ことなのに、あの席にかぎっては、見ないほうが難しい。
次に、乗っている人が絞れている。
平日の昼間にタクシーで移動している人は、だいたい、なんらかの仕事の途中です。だから流れる広告も、名刺管理、経費精算、人材紹介、業務システム。どれもよく出来ていて、真面目です。
そこに、さんまさんが出てくる訳です。
「で、なんぼや?」
ブランド買取の、なんぼやのCM。効率化のソフトの話を続けて見たあとに、あの人が一人で喋り倒す。
ずるいと思いました。
空気が変わるんですよ。真面目な列に一人だけ笑わせにくる人がいると、そこだけ音量が上がったように聞こえる。だから見てしまう。
あとで知ったんですが、あのCM、リハーサルなしの一発撮りで、2本分を30分で撮り終えたそうです。
30分。
こっちは日記の1本に何時間もかけているのに、と一瞬思いましたが、たぶん逆ですね。あの30分の裏に何十年分がある。準備の量は、かかった時間では測れない。
売り込む広告は、飛ばされる。笑わせる広告は、覚えられる。
ついでに思ったことがあって、昔のタクシーには、あの画面がありませんでした。せいぜい紙の広告が貼ってあるくらいで、あとは窓の外を見ているか、寝ているかだった。
メディアが増えたというより、空いている時間が回収されていったんだと思います。エレベーターにも、ガソリンスタンドの給油機にも画面がある。人が黙って待つ時間は、ほとんど残っていない。
その意味では、うちの商売は逆側にいます。60分、個室で、画面のない部屋にいてもらう仕事なので。

で、MOMOの広告の話をすると、タクシーには出していません。予算の桁が違います。うちはネット広告と、検索と、この日記くらいです。
ただ、あの画面から学べることはあると思っていて。
短いこと。繰り返すこと。そして、売り込む前に、まず見てもらうこと。
この日記も、要はそれをやっています。求人票をきれいに置いておくだけでは読まれないから、毎日書いて、猫の写真を貼って、たまに焼肉やドラマの話をしている。売り込みたいことは、最後の一行にしか書いていません。
つまり、ぼくのやっていることは、タクシーの画面の下位互換な訳です(笑
そんな事を考えているうちに、目的地に着きました。
降りるときに頭に残っていたのは、名刺管理でも経費精算でもなく、
「で、なんぼや?」
これだけでした。完敗です。
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