日記
diaryシャワードライヤーの、名前の半分が別売りだった話。

シャワードライヤー、という商品があるそうです。
は?
シャワーと、ドライヤーです。濡らすのと、乾かすの。
名前のなかで、真逆の二語が握手している。
気になって調べました。水が出るわけではありませんでした。出るのはミストで、しかもただの水ではなく美容液です。ヒアルロン酸、加水分解ケラチン、加水分解シルク。そんなものが並んでいました。
乾かしたあと、最後の2分だけミストをかける。カートリッジ式で、2ヶ月くらいもつらしい。
よく考えられています。乾かすと髪は傷むので、最後に足して返す。理屈は通っています。
温風は70℃。消費電力1200W。本体357g。
70℃で乾かして、最後に美容液をかける。一本のなかに、乾かす係と、戻す係が同居している訳です。
ただ、公式のよくある質問に、こう書いてありました。
「ミストは使わなくてもドライヤーのみで使用できますか?」
「はい、問題なくご使用いただけます」
名前の半分が、別売りでした。

それにしても、なぜ「シャワー」にしたんだろう、と思いました。
ミストドライヤーでも、よかったはずです。中身はそのままなので。
ただ、ミストだと弱いんでしょうね。細かい霧が少し出る感じがする。シャワーだと、浴びる感じがする。
中身が同じでも、名前で受け取り方が変わる。そこまで計算して付けているんだと思います。
ちなみに商品ページには、受賞歴のバッジがずらっと並んでいました。数えるのをやめるくらい並んでいました。
うちも何か賞が欲しい。
昔の家電の名前は、正直だったなと思います。
扇風機。冷蔵庫。洗濯機。掃除機。
何をする機械なのか、名前だけで全部わかる。買う前から、用途が確定しています。
いまは、名前を聞いても何が起きるのか分かりません。ナノなんとか、プラズマなんとか。
昔の名前は、機能を説明していた。いまの名前は、気分を説明している。
で、これはうちの話でもあります。
うちの店名は、かっこよさではなく、覚えやすさで決めました。MOMO。二文字を二回言うだけです。気分より、記憶のほうを取りました。
設備の考え方も、似ています。
うちのパウダールームには、ドライヤーとコテとヘアアイロンが置いてあります。
シャワーはありません。
けっこう聞かれます。「シャワーはありますか」と。あまりに聞かれるので、サイトのよくある質問にも書きました。ありません、と。
60分のマンツーマンなので、汗だくになって帰る運動ではありません。だから洗う設備は置かず、髪を直す設備だけ置きました。
つまり、うちのパウダールームは「シャワーなし・ドライヤーあり」です。
商品名にするなら、ノーシャワードライヤー。一台も売れないと思います(笑
ただ、相反する二語がくっついているものは、うちの商売にもあります。
ピラティスは、動かしながら力を抜く運動だそうです。鍛えるのに、ゆるめる。
動かしに来ているのに、いちばん多く言われるのは「力を抜いてください」だと聞きます。
ぼくは裏方なのでセッションには入りませんが、あれも一本のなかに相反する係が二人いる商売だなと思います。
ところで、うちに置いてあるマシンの名前を並べてみます。
リフォーマー。キャデラック。チェア。ラダーバレル。
改革者。車。椅子。はしご樽。
キャデラックに至っては、完全に車です。
はじめて聞く方は、たぶん何のことか分からないと思います。
人のことは、言えませんでした。
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